47都道府県47色の「越境者」を訪ねるLocal DX Lab

2022.4.27 野島光太郎

データは新しい石油

コンピューターやスマートフォン、インターネットなどのテクノロジーは、私たちの生活や仕事だけでなく社会を一変させました。近年では、GAFAMを筆頭に、データやテクノロジーを競争力の源泉とした大手グローバル企業が世の中を牽引しています。その一方で、テクノロジーを用いた仕組みを導入したとしても、成果が伴わない企業も数多くあります。「データは新しい石油」と表現されることがあります。石油はしっかりとした加工プロセスを経てはじめてプラスチック製品などに形を変えるわけですが、実はデータも同じです。

昨今の日本では急速なDX推進が行われています。デジタル基盤が整備されつつある一方、多くの企業に未だに残る組織内部の壁(データに対する理解のギャップ、データ活用への意欲の差、データが変える未来へのイメージの差など)が、有機的なデータ活用を阻んでいます。DXへの最も大きな課題は紐解いていくと実は技術的な側面ではありません。

マッキンゼーが実施した2,135名の経営者へのインタビューの結果も、それを裏付けています。IT、テクノロジー、データを活かす上で、現状の日本が抱えるもっとも大きな問題は、Technical Problem(技術的課題)ではなく、Adaptive Challenges(適応課題)なのです。

出典:デジタル変革が失敗する要因の割合(マッキンゼーによるグローバル企業2,135名の経営者へのインタビュー)を元にデータのじかんで作成。

これらの問題は、データサイエンス、技術、MBAなどのフレームワークなど専門知識だけを学んでも、なかなか解決されません。なぜならば、データや技術を使うのも人であり、適応するのもまた人であるからです。そこに、Adaptive Challenges(適応課題)の壁があります。重要なのは、企業組織の古い慣習や旧態依然としたビジネスモデルを乗り越える「越境者」の存在です。適応課題が技術ではなく人の問題である以上、組織間における人材の変化がまずは求められており、その変化をリードするキーパーソンとしての越境者が、日本には必要なのです。

越境者を探して

私、野島が編集長をつとめるwebマガジン「データのじかん」では、データを活用して成果を出すことに成功した越境者の事例を多数ご紹介しています。多くの取材先の話を聞くことにより、私たちが実感として掴めてきたのは、メルカリ、Sansan、東急不動産、内閣府など社会的な影響を与える企業や自治体が膨大なデータを活用するにあたり、データを活用するために奔走したキーパーソンとなる「越境者」がそこには必ず存在するということです。また、デジタル化の状況や認知度、常日頃から触れている情報の量や質が東京圏と地方では異なっており、多くの情報は一都三県や一部の大都市に偏ってしまっている、つまり情報の地域格差が今もなお存在し続けている、ということも同時に感じています。

2021年9月に発足したデジタル庁は、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を」をスローガンにDX政策を表明しました。このスローガンには、地域を問わず国民一人一人を尊重しながらDXを推し進めていく、という政府の決意が込められています。情報やデジタル化の地域格差をなくし、同時にそれぞれの地域色に見合った施作を模索し、一つずつ実行させていくことがこのスローガンを実現させるためには必須となります。

Local DX Labを立ち上げます!

立ち上げ以降、DX/データ活用に関わり続けてきたデータのじかんは、ぜひその架け橋になりたい、という思いを込めてLocal DX Labを発足させました。Local DX Labはそれぞれの地域の特色を活かしつつ、身の丈にあったDXのあり方を取材し、紹介することによってDX推進を後押ししていくことを目的としており、全国47都道府県のそれぞれのエリアのロールモデルや越境者を取材し、スポットライトを当てていきたいと考えております。

すでにいくつか取材を終えたLocal DXに取り組んでいる企業やチームもあります。エンジニア出身でゼロからワイン生産に最新のITを活用した岩手のスマートワイナリーやITで地域・教育改革をおこなった北海道の自治体職員の方、都民のQOLのため、デジタルを駆使しながらも、住民に丁寧に泥臭く寄り添い続ける都庁のチームなどです。いずれも地域の特色を活かした、身の丈にあったDXを実行しているという点で彼らは共通しています。

地域活性にDXを活用する

私たちが「データのじかん」で実現させたいのは、これらの事例をヒントに事業を推進する企業さまやチームつまり「越境者」が社会に増えることです。同じくらいの規模感の事業を行っている企業にとってこれらの事例は大きなヒントになるのではないかと私たちは考えています。それだけでなく、今後に向けて地方進出を検討している都心部の企業にとっても有益な事例となるのではないかと感じています。

データやデジタルの活用で、企業が成長し、地方が活性化し、社会全体が発展する。そんな未来を創造できる世の中を実現するための支援をしたい、というのが私たちの思いです。そのために、47都道府県47色の「越境者」を見つけだし、彼ら一人一人をその地域を象徴するヒーローとして紹介したいと考えています。ですので、ぜひともあなたのデータ活用やDXへ向けた取り組みを取材させてください。記事は当面はWebのみでのご紹介になりますが、将来的には紙媒体の発行も視野に入れて考えており、47都道府県全て網羅した冊子を完成させることをとりあえずの目標としております。企業、地方、そして社会の発展のためにぜひ力をお貸しください!

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ライタープロフィール

野島光太郎(Kotaro Nojima)

データのじかん編集長。広告代理店にて高級宝飾ブランド/腕時計メーカー/カルチャー雑誌などのデザイン・アートディレクション・マーケティングを担当。その後、一部上場企業/外資系IT企業での事業開発を経てウイングアーク1st入社。静岡県浜松市生まれ、名古屋大学経済学部卒業。座右の銘は「球を投げ続けたところが的になる」。

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